行政書士事務所ACTIONの佐野雅彦です。
私は、IT受託会社向けに、資金繰りの見通し整理を行っています。
たとえば、創業初期の借入と返済の組み立て、今後3年間の資金不足リスクの確認、毎月の資金状況の見直しなどです。
単なる申請代行や書類作成ではなく、借入、返済、入金、支払い、採用、投資判断まで含めて、資金の流れを整理することを重視しています。
資金調達の相談では、どうしても「いくら借りられるか」に意識が向きやすくなります。
しかし私は、そこだけを見て話を進めることはしません。
大事なのは、借りたあとも返済を続けながら、次の採用や投資判断を無理なく進められるかどうかです。
借入は、入金された瞬間に終わるものではありません。
翌月以降の返済、外注費の支払い、人件費、採用の余力、次の投資判断にまで影響します。
その関係を見ないまま進めると、一時的に資金は入っても、後から採用、投資、追加借入の判断がしにくくなることがあります。
融資が通ることと、経営が安定することは、同じではありません。
特にIT受託会社では、売上が立っていても入金までに時間がかかることがあります。
一方で、外注費、人件費、採用費、社会保険料などは先に出ていきます。
そのため、損益上は大きな問題がないように見えても、実際には急な支払いや次の採用に回せるお金の余裕が少ないことがあります。
私は、こうした問題を、単なる融資手続の話としては見ていません。
売上、入金時期、外注費、人件費、返済、採用予定、契約条件。
これらは別々の問題ではありません。
すべてつながって、会社の資金繰りをつくっています。
だからこそ、資金調達を考えるときは、「いくら借りるか」だけではなく、
「いつ入金されるのか」
「いつ支払いが出るのか」
「返済が始まったあとも資金は回るのか」
「採用や外注を増やしても大丈夫か」
を一緒に確認する必要があります。
ご相談いただいた際には、いまの借入、返済負担、入金時期、人件費、外注費の流れを見ながら、どこに負担が集まっているのかを整理します。
そのうえで、次の借入、採用、投資判断で何に注意すべきか。
どこを先に見直すと判断しやすくなるのか。
経営者ご自身が次の一手を考えられるよう、必要な数字と注意点を確認していきます。
当事務所は、金融機関との代理交渉や契約行為を行う立場ではありません。
また、税務申告や会計処理そのものを行う立場でもありません。
できることと、できないことは、最初にきちんとお伝えします。
そのうえで、金融機関や税理士などの専門家に相談する前段階として、経営者ご自身が、
「今の借入でよいのか」
「返済負担は重すぎないか」
「次の一手を進めても資金は持つのか」
を判断しやすいよう、必要な数字や論点を整理する立場です。
私は、ビジネス専門学校で、外国人留学生に日本語で簿記やファイナンシャルプランニングを教えています。
数字の説明で大切なのは、専門用語を並べることではありません。
相手が、自分の状況を理解し、次に何を確認すべきか分かる順番で伝えることだと思っています。
異なる理解度や前提知識を持つ相手に対して、数字の意味を順序立てて伝える経験は、実務でも活きています。
何が負担になっているのか。
何を先に見直すべきなのか。
どの判断は今すべきで、どの判断はもう少し材料を集めてからでよいのか。
そうしたことを、できるだけ分かりやすく整理してお伝えすることを大切にしています。
制度の概要だけを知りたい場合よりも、
今の借入や返済負担を見直したい。
次の融資や投資判断まで視野に入れて考えたい。
借りた後の返済や資金繰りまで含めて確認しておきたい。
そうしたご相談に向いています。
ご相談のあと、お客様に持ち帰っていただきたいのは、「何となく不安だった状態」のままではありません。
どの返済や支払いが負担になっているのか。
どの入金時期に注意すべきなのか。
何を先に見直すべきなのか。
それが少しでも見える状態です。
資金調達は、会社を一時的に楽にするためだけのものではありません。
その後も事業を続け、必要な判断をしていくための土台です。
だから私は、借りる前だけでなく、借りた後の資金の流れまで含めて、一緒に整理することを大切にしています。