行政書士
佐野 雅彦
行政書士事務所ACTION代表。
IT受託会社の借入・返済・追加融資・資金繰りを一体で見ながら、
その場しのぎではない資金の整え方を支援しています。
地方公務員として25年間、制度運用と相談対応に携わった経験を踏まえ、
現在は、返済を続けながら次の借入や投資を進められるかという視点で、記事監修と実務支援を行っています。
このページでは、IT受託会社の経営者に向けて、借入・返済・追加融資・投資判断まで見据えた資金戦略の実務情報を掲載しています。
[2.資金戦略の基本原則]
目次
資金戦略を設計する行政書士|外部CFO型パートナー
創業直後の経営者にとって、資金繰りは避けられないテーマです。
多くの経営者が制度の「審査を通すためのノウハウ」を探す傾向にありますが、重要なのは「借りられるかどうか」ではなく、「自社の資金構造にどう影響するか」です。
2026年2月時点で創業・スタートアップ期に関係する代表的な制度として、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」(以下「支援資金」)があります。
これは従来の「新創業融資制度」を統合・発展させた制度枠であり、その設計を理解することは資金繰り全体の判断基準になります。
「支援資金」は、日本政策金融公庫(政策金融機関)の国民生活事業が主体となる創業期向けの融資制度です。
・対象:新たに事業を始める方、または創業後おおむね7年以内の方(法人/個人事業主いずれも対象)
・特徴:運転資金・設備資金ともに融資の幅がある枠組みであること
制度自体は、「創業を支援する仕組み」として位置づけられていますが、その目的は「創業計画の遂行を財務的に可能にすること」であり、単なる「資金を得るための手段」ではありません。
なお、従来の代表的制度であった「新創業融資制度」は 2024年3月末で廃止 され、現在は支援資金に組み込まれています。
支援資金を制度として利用するための基本的条件は次のとおりです。
これらの要件は「資金が必要だから借りる」という動機のみでは成立せず、事業構造と返済可能性の整合性が評価対象となります。
制度を制度設計の観点から捉えると、以下のポイントが資金繰りの意思決定に重要です。
支援資金は、事業資金の中で運転資金(短期的なキャッシュ需要)と設備資金(中長期的な投資需要)を区分した融資枠が設けられています。
この区分は「返済負担曲線を資金使途に合わせて設計する」という視点を促します。
短期的な資金繰りに長期返済の力を使いすぎない設計が、キャッシュフローの安定に寄与します。
制度は金利面でも特別な扱いがあり、一定の条件を満たす場合に基準利率を下回る特別利率が適用される場合があります。
ただし金利水準は市場動向・利用者属性により変動するため、単純に「安いから良い」という判断だけでは不十分です。
据置期間は、開始直後のキャッシュフロー負担を抑える役割を果たしますが、その分返済開始後の期間負担が累積することにもなります。
据置があるからといって無計画に資金を使うと、後の返済圧が高まる構造になり得ます。
制度の利用を考える際、単に「いくら借りられるか」ではなく、次の視点を設計判断軸として置くことが資金戦略上重要です。
支援資金は長期返済枠を提供しますが、返済負担は将来のキャッシュフローを前提にします。
従来存在した自己資金要件は撤廃もしくは条件により柔軟化されていますが、それは「借入依存を推奨している」ということではありません。
自己資本比率や運転資金の確保は、資金繰り全体の安全性に寄与します。
支援資金は単体で完結する制度ではなく、他の資金源(運転資金の内部留保、取引条件改善、設備投資の段階化等)と組み合わせる前提で評価すべきものです。
銀行融資や信用保証付き融資などと比較し、「何を担保し、何を内部で解決するか」という資金戦略のフレームワーク化が重要です。
2026年2月時点で創業期の資金繰りに関わる主要な制度のひとつが、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。
この制度は過去の「新創業融資制度」を発展させたものであり、創業後間もない事業者向けに長期返済枠や無担保・無保証の選択肢を提供するものと整理できます。
しかし資金構造の設計を行うのであれば、単に制度を利用するか否かだけではなく、次のような視点が不可欠です。
これらの視点は、単なる「融資審査を通す」戦略ではなく、資金構造設計の判断軸として機能します。
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