全国対応|支援事例集

IT受託会社支援を中心に、 関連する支援も含めて、資金戦略を実務でどう組み立てているかをまとめた事例です。

[1.資金戦略・財務顧問事例]

外国人経営者の開業支援事例|会社設立・在留資格を進める前に、支出と入金の順番を整理したケース

外国人経営者の方から、日本での開業に向けて、会社設立や在留資格の準備とあわせて、資金面を整理したいというご相談がありました。

ご本人は、事業内容や開業場所、必要な手続きについて、すでにある程度準備を進めていました。

会社を作る。
事務所を確保する。
在留資格の準備を進める。
必要な専門家に相談する。

一つひとつは、どれも大切な準備です。

ただ、相談内容を確認していくと、手続きの順番に比べて、開業前後のお金の流れがまだ十分に整理されていない状態でした。

そこで当事務所では、会社設立や在留資格の話だけを先に進めるのではなく、まず、

  • いつお金が出ていくのか
  • いつ売上が立つのか
  • いつ実際に入金されるのか
  • 入金までの間、固定費と生活費を支えられるのか

を一緒に確認しました。

手続きが進んでいても、資金が足りるとは限らない

今回のご相談でまず整理したのは、開業前後に出ていくお金です。

開業時には、会社設立に関する費用だけでなく、事務所の保証金、家賃、設備費、専門家費用、通信費、外注費などが発生します。

外国人経営者の場合は、事業資金だけでなく、日本で生活していくための費用も同じ時期に重なりやすくなります。

住居費
引っ越し費用
家族の生活費
当面の生活を支えるためのお金

これらが事業資金と混ざってしまうと、開業後にどれだけ資金が残るのかが見えにくくなります。

今回も、事業の準備自体は進んでいました。
ただ、支出の時期と入金の時期を並べてみると、売上が入る前に、先に現金が減っていく期間があることが見えてきました。

手続きが進むことと、現金が残ることは別です。

この点を確認することが、今回の支援の出発点でした。

売上予定ではなく、入金時期を確認した

次に確認したのは、売上の見込みではなく、入金の時期です。

開業前の段階では、「仕事が取れそうか」「売上が立ちそうか」に意識が向きやすくなります。

もちろん、それは大事です。

ただ、資金繰りを見るうえでは、売上が立つことと、現金が入ることを分けて考える必要があります。

たとえば、サービスを提供しても、請求してから入金まで1か月、2か月かかることがあります。

その間にも、家賃、通信費、外注費、役員報酬、生活費は出ていきます。

今回の支援では、売上予定をそのまま資金計画に入れるのではなく、

  • いつ契約できる見込みか
  • いつサービス提供が始まるか
  • いつ請求できるか
  • 実際の入金はいつになりそうか

という順番で確認しました。

すると、売上の見込みはあっても、開業直後に現金が不足しやすい時期があることがわかりました。

そこで、開業時点で必要なお金だけでなく、入金までの空白期間を何か月支えられるかを確認しました。

生活費と事業資金を分けて考えた

今回、特に大事だったのは、生活費と事業資金を分けて見ることでした。

外国人経営者の場合、日本で事業を始めるタイミングと、日本での生活基盤を整えるタイミングが重なることがあります。

このとき、生活費と事業資金を一つの財布で考えてしまうと、判断が難しくなります。

事業用に残しておいたお金が、住居費や生活費で少しずつ減っていく。
その結果、設備費や外注費、家賃の支払いに使えるお金が足りなくなる。

こうしたことは、開業前には見えにくいですが、実際にはよく起こります。

そこで今回の支援では、

  • 事業に使うお金
  • 生活を維持するためのお金
  • 入金までの間に必要なお金
  • 予備として残すべきお金

を分けて確認しました。

これにより、「いくらあれば開業できるか」ではなく、「開業後、何か月支えられるか」という見方に変えることができました。

借入は、借りられるかではなく、借りた後に回るかで見た

資金が不足する可能性がある場合、借入を検討することもあります。

ただし、借入は、通ればよいというものではありません。

借りたお金は、返済が始まります。
返済が始まれば、毎月の固定費は増えます。

そのため、今回も「借りられるか」だけではなく、

  • 借入の目的は何か
  • いくら必要なのか
  • 返済はいつから始まるのか
  • 返済原資はどこから出すのか
  • 売上が計画より遅れた場合でも支払えるか

を確認しました。

借入は、開業を前に進めるための手段です。
しかし、返済が始まった後に資金繰りが苦しくなるなら、金額や時期を見直す必要があります。

今回の支援では、借入の可否だけでなく、借りた後の毎月の資金繰りまで見て、判断材料を整理しました。

この支援で整理したこと

今回の支援で整理した主な内容は、次の4つです。

1.開業前後に出ていくお金

会社設立費用、事務所費用、設備費、専門家費用、通信費、外注費など、開業前後に必要となる支出を確認しました。

2.売上ではなく、入金の時期

売上予定だけでなく、実際に現金が入る時期を確認しました。
請求から入金までの空白期間がある場合、その間の固定費をどう支えるかが重要になります。

3.生活費と事業資金の分離

住居費や生活費が、事業資金を削っていないかを確認しました。
特に開業初期は、生活費と事業資金を分けて見ることで、資金不足の原因が見えやすくなります。

4.借入後の返済負担

借入を検討する場合でも、借りた後の返済額を含めて、毎月の資金繰りが成り立つかを確認しました。

支援後に見えたこと

今回の支援を通じて、ご相談者は、手続きの準備だけでなく、開業後のお金の流れを具体的に確認できるようになりました。

会社設立を進めること。
在留資格の準備を進めること。
事務所を確保すること。
借入を検討すること。

それぞれは大事です。

ただ、それらを別々に考えると、資金の流れが見えにくくなります。

今回のように、支出と入金の時期を並べてみると、何を先に決めるべきか、どこに余裕を持たせるべきかが見えやすくなります。

大事なのは、手続きを止めることではありません。
手続きと資金の流れをつなげて見ることです。

「開業できるか」だけでなく、
「開業後も続けられるか」。

この視点を持つことで、会社設立や在留資格の準備も、より現実に合った順番で進めやすくなります。

当事務所の関わり方

当事務所は、税務申告や会計処理そのものを行う立場ではありません。

一方で、会社設立、在留資格、契約、開業準備と重なる資金判断について、どこに資金負担があり、何を先に整理すべきかを確認しやすくする支援を行っています。

今回のように、外国人経営者の開業前後では、制度上の準備と生活上の準備が同時に進みます。

そのため、会社設立や在留資格だけを切り離して見るのではなく、事業資金、生活費、入金時期、借入後の返済まで含めて整理することが大切です。

※本記事は、実際の相談現場で見えてきた論点をもとに、守秘義務に配慮して再構成した支援事例です。個別の事情により、必要な確認事項や判断は異なります。

開業前後の支出と入金の順番、生活費と事業資金、借入後の返済負担を整理したい方は、関連する支援内容をご確認ください。

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