全国対応|支援事例集

自社に近い事例から、お客様が決定した内容と、当事務所が整理した書類をご覧いただけます。

[1.融資申請・入出金資料の整理事例]

創業融資返済中のIT受託会社|採用・外注予定を資金計画へ反映した事例

※本事例は実際の相談内容をもとに再構成したモデルケースです。守秘義務に配慮し、企業や人物を特定できないよう、規模・時期・金額など一部の情報を加工・変更しています。

創業融資を受けた後、売上や案件が増えてくると、次に考えるのが採用や外注の拡大です。

しかし、売上が伸びているからといって、採用、外注、広告、追加借入を同時に進めても問題がないとは限りません。

人件費や外注費は、顧客からの入金より先に発生することがあります。創業融資の返済も続きます。

今回は、依頼者が検討・決定した採用・外注等の前提を、既存借入の返済予定とともに資金計画資料へ反映した事例です。

相談前の状況

相談の対象となったのは、創業2年目のWeb制作・受託開発会社です。

創業時に融資を受け、事業は少しずつ軌道に乗り始めていました。

既存顧客からの紹介が増え、代表一人では受けきれない案件も出ていました。

代表は、今後の体制について次のような選択肢を考えていました。

  • 正社員を採用する
  • 外注先を増やす
  • 広告費を増やして問い合わせを獲得する
  • 必要な資金を追加で借りる

いずれも、会社を次の段階へ進めるための前向きな選択肢です。

一方で、創業融資の返済はすでに始まっていました。

顧客からの入金はおおむね60日後で、案件によっては、外注費を売上の入金より先に支払う必要がありました。

売上だけを見ると成長局面でしたが、複数の支出を同時に増やしてよいかは、慎重に確認する必要がありました。

経営者が感じていた不安や迷い

当初の相談は、追加借入を受けるべきかというものでした。

案件が増えているため、人手を増やしたい。しかし、採用すれば毎月の人件費が増えます。

外注であれば、案件に応じて調整しやすい一方、顧客からの入金前に外注費を支払うことがあります。

広告費も、問い合わせや受注につながる前に支出が発生します。

さらに追加借入を行えば、現在の創業融資に加えて、新たな返済が始まります。

代表が迷っていたのは、借入ができるかどうかだけではありません。

借りた後に採用や外注を増やしても、会社の資金が無理なく回るのか。その判断材料が不足していました。

提供資料と依頼者指定の前提を整理して分かったこと

まず、現在の資金状況と、今後予定されている入出金を確認しました。

整理した項目は次のとおりです。

  • 現在の手元資金
  • 毎月の固定費
  • 創業融資の返済額
  • 顧客からの入金時期
  • 外注費の支払時期
  • 採用後に増える人件費
  • 広告費を増やした場合の支出
  • 追加借入後の返済額
  • 3か月後と6か月後の資金残高

特に確認したのが、固定費を手元資金で何か月分賄えるかという点です。

これは、売上の入金が遅れた場合でも、給与、家賃、システム利用料、借入返済などを何か月続けられるかを見るものです。

採用前には、一定の資金余力がありました。

しかし、採用、外注の拡大、広告費の増加を同時に行うと、数か月後に手元資金が少なくなる可能性がありました。

売上が伸びていないわけではありません。

IT受託会社では、案件を受注してから実際に入金されるまでに時間がかかります。

案件を受け、制作や開発を進め、人件費や外注費を支払い、検収を経て請求します。現金が入るのは、その後です。

売上が増える時期には、入金前の支出も増えやすくなります。

資金計画資料に反映した内容

当事務所は、追加借入や採用等の可否を判断せず、依頼者が比較条件として指定した複数の前提を同じ資金計画表に反映しました。

最初に、既存案件の入金予定を確認しました。

次に、外注費やその他の支払い予定を月別に並べました。

そのうえで、依頼者が社会保険労務士等へ確認して決定した給与・社会保険料・採用時期を用い、毎月の支出予定を資料に反映しました。

広告費についても、依頼者が指定した金額・支出時期を資金計画上の前提として反映しました。広告効果の予測や広告施策の選定は行っていません。

最後に、依頼者が指定した借入額・実行時期・返済予定を反映し、各前提における資金残高を資料上に示しました。

比較したのは、次のような場合です。

  • 現在の体制を維持する場合
  • 正社員を採用する場合
  • 外注先を増やす場合
  • 広告費を増やす場合
  • 複数の施策を同時に行う場合
  • 追加借入を行う場合
  • それぞれの実施時期を分ける場合

一つひとつは実行可能でも、同じ時期に重なると資金負担が大きくなることがあります。

そのため、依頼者が指定した実施内容・順番・時期ごとに、資金推移を比較できる資料を作成しました。

経営者が判断できるようになったこと

数字を並べたことで、売上が伸びていることと、すぐに採用できることは同じではないと確認できました。

また、追加借入についても、資金が足りなくなってから考えるのではなく、必要になる時期と返済後の資金余力を見て検討できるようになりました。

採用、外注、広告費には、それぞれ異なる特徴があります。

正社員の採用は、毎月の固定費を増やします。

外注は案件に応じて調整しやすい一方、入金より先に支払いが発生することがあります。

広告費は将来の受注につながる可能性がありますが、成果が出る時期や金額を確定することはできません。

それぞれの違いを資金繰り表に反映することで、代表自身が実施する順番と時期を比較できるようになりました。

この事例から分かる一般的なポイント

事業が伸び始めた時期ほど、資金判断は複雑になります。

案件が増えれば、人を増やしたくなります。外注先や広告への支出も増やしたくなります。

ただし、売上の増加と手元資金の増加は、同じ時期に起こるとは限りません。

特に入金までの期間が長いIT受託会社では、売上が増えるほど、先に必要となる人件費や外注費も増える場合があります。

創業融資の返済中であれば、その支払いも毎月続きます。

そのため、次の項目を別々に考えないことが大切です。

  • 顧客からの入金
  • 人件費
  • 外注費
  • 広告費
  • 創業融資の返済
  • 追加借入後の返済

借入を受けられるかだけでなく、借りた後も無理なく返済できるかを確認する必要があります。

同様に、採用できるかだけでなく、採用後の固定費を会社が継続して負担できるかを見ることが重要です。

同じような状況の経営者が確認したいこと

創業融資の返済中に採用や外注を増やしたい場合は、まず次の点を確認してみてください。

  • 今後3か月から6か月の入金予定
  • 顧客ごとの入金条件
  • 外注費の支払日
  • 現在の毎月の固定費
  • 創業融資の返済額
  • 採用後に増える人件費と社会保険料
  • 広告費を支出してから成果が出るまでの期間
  • 追加借入後の返済額
  • 入金が遅れた場合にも残る手元資金

そのうえで、採用、外注、広告、追加借入を実行した場合と、実施時期をずらした場合を比べます。

重要なのは、「借りられるか」だけではなく、「今借りる必要があるか」「借りた後も会社が回るか」を判断できる状態をつくることです。

ACTIONでは、創業融資後の返済、採用後の固定費、外注費、広告費、案件の入金時期を一つの資金繰り表にまとめます。

当事務所は、経営者が自ら判断・決定した内容に基づき、融資申請書類・資金計画の作成と、そのための事実関係・数値の整理を支援します。

※当事務所は、採用・外注・広告施策・経営方針の可否判断、労務・社会保険相談、契約内容の法的判断、税務・会計相談、融資判断、金融機関・従業員・外注先・取引先との交渉・代理を行いません。必要に応じて、社会保険労務士、弁護士、税理士その他の専門家へご相談ください。

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