全国対応|支援事例集

IT受託会社支援を中心に、 関連する支援も含めて、資金戦略を実務でどう組み立てているかをまとめた事例です。

[1.資金戦略・財務顧問事例]

【支援事例】IT受託会社の単価据え置き判断前に、先3か月の資金繰りを整理したケース

IT受託会社専門|借入前の判断材料を整理する行政書士

今回は、4月の契約更新を前に、単価を据え置くべきか、見直すべきかを迷っていたIT受託会社の支援事例です。

ご相談時点では、受注はありました。
経営者の方にも、すぐに資金が足りなくなるという強い不安があったわけではありません。

ただ、話を聞いていくと、気になる点がありました。

4月に稼働した分の入金は、おおむね60日後。
案件によっては、検収の都合でさらに遅れる可能性もありました。

一方で、外注費、人件費、家賃、ソフト利用料などは、毎月先に出ていきます。

つまり、売上はある。
案件もある。
けれど、お金が入る前に、支払いが先に来る状態でした。

ここで確認したかったのは、単価を上げるべきかどうかだけではありません。

この単価のまま進めた場合、6月・7月の資金残高がどこまで下がるのか。
まず、そこを整理する必要がありました。

最初に見たのは、今の残高ではありません

資金繰りを見るとき、どうしても今の預金残高に目が行きます。

もちろん、今いくらあるかは大事です。
ただ、それだけでは判断できません。

今回確認したのは、今の残高ではなく、これから3か月でどれだけお金が減るかでした。

特に見たのは、次のような点です。

  • 固定費を何か月まかなえるか
  • 入金が遅れた場合、月末残高がどこまで下がるか
  • 単価を据え置いた場合、資金残高にいつ影響が出るか
  • 外注費の支払いが、入金より先に出ていないか
  • 借入を検討するなら、いつ準備を始めるべきか

単価据え置きの影響は、その月だけでは終わりません。

IT受託会社の場合、4月の判断が、6月や7月の資金繰りに効いてくることがあります。
だからこそ、契約更新のタイミングで、少し先のお金の流れを確認しておく必要がありました。

固定費を何か月まかなえるかを確認した

まず整理したのは、固定費です。

人件費
役員報酬
家賃
通信費
ソフト利用料
急には減らせない外注費

こうした支出を、今ある現預金で何か月まかなえるかを確認しました。

表面上は、数か月分の余裕があるように見えました。
ただ、未回収の売上が遅れたり、追加の外注費が発生したりすると、実際の余裕は思ったより薄くなります。

特にIT受託会社では、入金まで60日前後かかる一方で、支払いは先に出ます。

そのため、単に「現預金がいくらあるか」ではなく、
固定費を払い続けたときに、何か月後に一番残高が薄くなるのか
を見ていきました。

ここが見えると、判断の順番が変わります。

単価交渉を待つのか。
外注の使い方を見直すのか。
借入準備を先に進めるのか。

感覚ではなく、数字を見ながら比べやすくなります。

先3か月の資金の減り方を置いてみた

次に、先3か月の資金繰りを整理しました。

今回置いてみたのは、楽観的な数字ではありません。

稼働率が少し落ちた場合。
検収が1か月遅れた場合。
単価改定がすぐには進まなかった場合。
外注比率が上がった場合。

こうした条件を入れてみると、売上はあるのに、月末の資金残高が思ったより早く下がる月が見えてきました。

ここで大事なのは、危機感をあおることではありません。

「このままだと危ないです」と言いたいわけではありません。
むしろ、早めに見える形にしておけば、落ち着いて選べることが増えます。

借りるのか。
待つのか。
条件交渉を先にするのか。
外注費の出方を見直すのか。

社長が判断できる材料を並べることが、この支援の目的でした。

単価据え置きを、利益だけで見ないようにした

単価を上げられなかったとき、多くの場合は「利益が少し減る」という見方をします。

もちろん、それも大事です。

ただ、IT受託会社の場合、それだけでは足りません。

入金が2か月後、3か月後になる会社では、単価据え置きの影響が、あとから資金残高に出てきます。

たとえば、4月に単価を据え置く。
5月も同じ条件で稼働する。
でも、その分の入金は6月末や7月になる。

その間に、外注費や人件費は先に出ていきます。

つまり、単価据え置きは、単に利益率の問題ではありません。
資金が減るスピードの問題でもあります。

今回の支援では、単価据え置きによって、どの月の資金残高が一番薄くなるのかを確認しました。

そのうえで、単価交渉を待つのか、借入準備を先に考えるのか、外注の使い方を見直すのかを比べやすい状態に整えました。

「いくら借りられるか」ではなく、「今、借りるべきか」を整理した

今回、最初から借入ありきで考えたわけではありません。

資金調達は大事です。
ただ、借りられればよいというものではありません。

借りた後には返済が始まります。
返済が始まった後も、会社が無理なく回るかを見なければなりません。

そのため、今回整理したのは、次の順番でした。

まず、現預金で固定費を何か月まかなえるか。
次に、先3か月で資金がどこまで減るか。
そのうえで、単価据え置きが続いた場合、一番お金が少なくなる時点がどこまで下がるか。

ここまで見えてから、借入を検討するかどうかを考えました。

借りること自体が目的ではありません。
大事なのは、社長が落ち着いて判断できる状態をつくることです。

同じIT受託会社でも、見るべき場所は違う

今回のような相談では、「IT受託会社」とひとくくりに見ないようにしています。

Web制作や受託開発が多い会社では、納品や検収のタイミングで入金がぶれやすくなります。

保守運用や準委任が多い会社では、毎月の売上は立ちやすい一方で、単価の見直しが遅れると、少しずつ手元に残るお金が薄くなることがあります。

SES比率が高い会社では、待機が1〜2名出るだけで、資金の余裕が縮みやすくなります。

外注依存型の会社では、入金より先に外注費が出ていくため、案件が増えているのにお金が苦しくなることもあります。

同じIT受託会社でも、どこで資金が詰まりやすいかは違います。

だから、一般論だけでは判断できません。
その会社の入金時期、支払時期、固定費、外注比率、単価の動きを並べて見る必要があります。

今回の支援で整理したこと

今回の支援では、経営者の方がすぐに何かを決めなければならない状態だったわけではありません。

ただ、4月の単価据え置き判断をそのまま進めると、数か月後に資金の余裕が薄くなる可能性がありました。

そこで、次の点を整理しました。

固定費を何か月まかなえるか。
先3か月で資金がどこまで減るか。
単価据え置きが続いた場合、一番お金が少なくなる月はいつか。
借入を検討するなら、いつ準備を始めるべきか。
外注費や契約条件を見直す余地があるか。

この整理によって、単価交渉を待つのか、借入準備を先に考えるのか、外注の使い方を見直すのかを比べやすくなりました。

まとめ

4月の契約更新は、単価や条件を見直す時期です。

ただ、IT受託会社では、それを営業の話だけで決めると、あとから資金繰りに影響が出ることがあります。

入金まで時間がかかる。
外注費や人件費は先に出る。
稼働率は毎月同じではない。
検収が遅れることもある。

こうした条件が重なると、売上があっても、手元のお金が先に細くなることがあります。

だから確認したいのは、借りられるかどうかだけではありません。

固定費を何か月まかなえるか。
先3か月で資金がどこまで減るか。
単価据え置きが続いたとき、一番お金が少なくなる時点はどこか。

ここが見えてはじめて、借りるか、待つか、条件を見直すかを落ち着いて比べられます。

※本事例は実際の相談内容をもとに再構成したモデルケースです。
守秘義務の観点から、一部表現を調整しています。

自社の数字をどう整理すればよいか迷う場合は

資金戦略は、一般論だけで決められるものではありません。

同じIT受託会社でも、入金サイト、固定費、外注比率、契約条件によって、見るべき場所は変わります。

重要なのは、
「借りられるか」ではなく、「今、借りるべきか」を判断できる状態をつくること
です。

自社も同じように、単価据え置きや借入の前に資金の流れを整理したい場合は、サービス一覧をご確認ください。
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