全国対応|支援事例集

IT受託会社支援を中心に、 関連する支援も含めて、資金戦略を実務でどう組み立てているかをまとめた事例です。

[1.資金戦略・財務顧問事例]

経営管理ビザ更新時に、事業継続性と追加融資を一体で整理した支援事例

今回ご相談いただいたのは、経営管理ビザの更新を控えた外国人経営者の方でした。

会社は設立3年目の製造業法人です。

受注は増えており、売上だけを見れば事業は前に進んでいました。
一方で、経営者の方には別の不安がありました。

売上はある。
仕事も動いている。
けれど、手元のお金に余裕がない。

経営管理ビザの更新時期が近づくなかで、必要書類の準備だけでなく、追加融資を受けるべきかどうかも判断する必要がありました。

ただ、当初はその判断材料が十分に整理されていませんでした。

問題は、更新書類が足りないことだけではありません。

この先も会社を続けていくために、
いつ、何に、いくら必要なのか。
追加融資を受けるなら、そのお金は何を支えるためのものなのか。
返済が始まった後も資金繰りが回るのか。

そこを説明できる状態にする必要がありました。

なお、以下は守秘義務に配慮し、実在の案件をもとに、業種表現・数値・時系列などを一部加工した支援事例です。

売上は伸びているのに、手元資金に余裕がない

A社は、受注が堅調に増えていました。

しかし、製造業では、受注が増えればすぐにお金が残るわけではありません。

材料費、外注費、労務費は先に出ていきます。
一方で、売上の入金は納品後になります。

つまり、売上が増えるほど、先に必要になる運転資金も増えます。

A社もまさにその状態でした。

月次の数字を見ると、事業そのものが大きく崩れているわけではありません。
ただ、受注増に伴って、先に出ていくお金が増えていました。

利益が出ていても、売掛金がまだ回収されていなければ、手元の現金は増えません。
在庫や仕掛品が増えれば、その分のお金はすぐには使えません。

A社の不安の原因は、単純な赤字ではなく、成長に伴う資金のズレにありました。

まず整理したのは、お金が入る時期と出ていく時期

支援の中で最初に確認したのは、資金不足の原因でした。

赤字で資金が足りないのか。
それとも、利益は出ているが、入金より先に支払いが発生しているのか。

ここを分けずに「とりあえず融資を受ける」と考えると、借入そのものが目的になってしまいます。

A社では、次の内容を並べて確認しました。

  • 現在の手元資金
  • 毎月の固定費
  • 既存借入の返済額
  • 受注見込み
  • 材料費・外注費などの先行支出
  • 売上の入金時期
  • 今後数か月の資金残高の見通し

これらを月単位で整理すると、A社の資金繰りを圧迫していた主な原因は、受注増に伴う運転資金需要であることが見えてきました。

事業が悪化しているというより、仕事が増えたことで先に必要なお金が増えていたのです。

追加融資500万円は「多めに借りる」話ではなかった

A社では、結果として500万円の追加融資を検討することになりました。

ただし、これは単に「資金が不安だから多めに借りる」という話ではありません。

見るべきなのは、借入額の大きさではなく、何のために必要な資金なのかです。

A社の場合、追加融資の目的は大きく分けて次の3つでした。

1つ目は、材料費や外注費など、受注増に伴って先に出ていくお金に対応すること。

2つ目は、売上の入金までの時間差を吸収すること。

3つ目は、既存借入の返済を続けながら、日常の資金繰りを無理なく回すこと。

このように整理すると、500万円という金額は、単なる不足補填ではなく、事業を続けるための資金余力として意味を持ちます。

大事なのは、借りられるかどうかだけではありません。

その借入によって、会社のどの不安を減らすのか。
返済が始まった後も、資金繰りが回るのか。
更新後も、事業を続けていける説明ができるのか。

そこまで見て判断する必要がありました。

経営管理ビザ更新の資料と資金計画を別々にしない

経営管理ビザの更新では、必要書類を整えることはもちろん重要です。

ただ、今回のように資金繰りに不安がある場合、書類だけを整えても、経営者本人の不安は残ります。

A社では、更新対応と資金計画を別々に進めるのではなく、同じ土台で整理しました。

なぜ今、資金が必要なのか。
その資金は、何に使うのか。
入金と支払いのズレは、どこで発生しているのか。
追加融資後、返済を含めても事業を続けられる見通しがあるのか。

こうした点を整理することで、経営者自身が、自社の状況を説明しやすくなりました。

更新対応でも融資相談でも、数字の見栄えだけを整えるのではなく、会社のお金の流れに一貫性があるかが重要になります。

支援の結果

A社では、経営管理ビザの更新対応を進めるとともに、追加融資500万円を確保するための資金計画を整理しました。

ただ、今回の支援で大事だったのは、融資額そのものではありません。

本質は、経営者が自社の資金繰りを把握し、なぜ今その資金が必要なのかを説明できる状態になったことです。

売上がある。
受注も増えている。
けれど、お金が残りにくい。

この状態を「なんとなく不安」で終わらせるのではなく、入金時期、支払時期、固定費、返済、今後の受注見込みに分けて整理しました。

その結果、追加融資は単なる資金不足の穴埋めではなく、事業継続のための判断として位置づけることができました。

今回の事例から見えること

経営管理ビザの更新時期は、どうしても手続きに意識が向きます。

もちろん、必要書類の準備は欠かせません。

ただ、会社を続けるうえでは、手続きを終えることと、経営が安定することは同じではありません。

売上が伸びていても、入金より先に支払いが増えれば、手元資金は苦しくなります。
利益が出ていても、返済や固定費を考えると、資金余力が足りないこともあります。

だからこそ、更新対応と資金判断が重なる場面では、

毎月いくら出ていくのか。
入金はいつ入るのか。
返済後も資金は回るのか。
追加融資は、何を支えるためのお金なのか。

このあたりを落ち着いて整理することが大切です。

借りられるかどうかだけではなく、今、借りるべきか。
通るかどうかだけではなく、その後も事業を続けられるか。

今回の支援では、そこを経営者の方と一緒に確認しながら、更新対応と資金計画を進めました。

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