IT受託会社専門|資金戦略を設計する行政書士・外部CFO型パートナー
はじめに
案件は増えている。
売上も伸びている。
それなのに、
通帳残高を見ると安心できない。
創業3年以内のIT受託会社では、
こうした不安が起こることがあります。
理由は、
受注がそのまま現金になるわけではないからです。
入金は後。
支払いは先。
このズレを見ないまま案件を増やすと、
売上は伸びても、
手元資金が苦しくなることがあります。
今回は、案件ごとの資金への影響を整理し、
受注・外注・採用の判断基準を整えた事例です。
1. 相談の背景
ご相談いただいた社長は、
創業融資を経て、
順調に事業を拡大していました。
案件数も増え、
売上も伸びていました。
一方で、
次のような不安がありました。
・この案件は、外注を使ってまで受けてよいのか
・採用に踏み切るべきか、外注で対応すべきか
・売上は増えているのに、なぜ残高が増えないのか
日々の見積作成や提案対応に追われる中で、
案件ごとの採算や資金への影響を、
落ち着いて確認する時間が取れなくなっていました。
その結果、
最後は社長の経験と感覚で判断する場面が
増えていました。
2. IT受託会社に起こりやすい資金のズレ
IT受託会社の資金繰りでは、
お金が出ていく時期と、
入ってくる時期がズレやすくなります。
先に出ていくお金があります。
外注エンジニアへの支払い。
社員の給与。
サーバー代。
開発環境費。
一方で、入金は後になります。
納品。
検収。
請求。
入金。
この流れを経るため、
実際に現金が入るのは
数か月先になることがあります。
案件ごとに利益が出ていても、
検収が1か月遅れるだけで、
資金が薄くなることがあります。
だから、売上だけでなく、
入金と支払いのズレを見る必要があります。
3. 支援内容
今回の支援で大切にしたのは、
AIに経営判断を任せることではありません。
社長が自分で、
受けるべきか。
条件を変えるべきか。
見送るべきか。
そう判断できる材料を整えることです。
具体的には、
次の項目を整理しました。
・想定工数
・外注費と支払時期
・検収予定日
・請求予定日
・入金予定日
・借入返済と重なる時期
・検収が遅れた場合の影響
これらをもとに、
案件ごとの資金への影響を確認できる
受注判断の型を整えました。
AIは、社長の代わりに決めるものではありません。
数字と前提を並べ、
判断の抜け漏れを減らすための道具として使います。
4. 変化
整理したことで、
案件の見え方が変わりました。
以前は、
売上の大きい案件ほど魅力的に見えていました。
しかし、実際に見てみると、
売上は大きくても、
外注費が大きい案件があります。
入金まで時間がかかる案件もあります。
社長の時間を長く奪い、
次の案件に動きにくくなる案件もあります。
一方で、
売上規模は大きくなくても、
粗利が残り、入金条件が安定し、
支払いとのズレが少ない案件もあります。
会社を強くするのは、
売上の大きさだけではありません。
残るキャッシュです。
5. 結果~不安が、先に動くための判断材料に変わった。
現在、この社長は、
案件を感覚だけで判断していません。
この案件を受けると、
何月に資金が薄くなるのか。
検収が遅れた場合、
いつ追加融資の相談を考えるべきか。
外注を増やすなら、
どの入金予定まで確認すべきか。
こうした点を、
時間軸で見られるようになりました。
その結果、
採用、投資、追加融資の相談も、
根拠を持って早めに考えられるようになりました。
ACTIONが大切にしている視点
ACTIONは、
単なる資金調達や資料作成だけを
目的にしていません。
大切にしているのは、
借りた後も、返済が始まった後も、
社長が落ち着いて経営判断できることです。
創業期や成長期の社長は、
多くの判断を一人で抱えがちです。
だからこそ、
勘と根性だけに頼るのではなく、
数字と時間軸で整理することが大切です。
まずは、
案件ごとの入金と支払いを
一本の時間軸に並べるところから始めます。
そこから、
受注、採用、投資、追加融資の判断材料が見えてきます。