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IT受託会社支援を中心に、 関連する支援も含めて、資金戦略を実務でどう組み立てているかをまとめた事例です。

[2.資金設計に関連する支援アーカイブ]

内装工事会社の資金戦略支援事例|売上拡大の前に確認したい「先に出るお金」と借入判断の整え方

内装工事会社の支援事例をもとに、売上拡大時に資金が苦しくなる理由と、借入判断をどう整えるべきかを解説します。

※本記事は、お客様の了承を得たうえで掲載しています。

なお、守秘義務に配慮し、地域・時期・数値・背景事情など一部の内容は、個人や案件が特定されないよう加工しています。

支援事例は事実をもとにしていますが、そのまま他社に当てはまる一般解として読むのではなく、創業時の資金戦略を考えるための参考事例としてご覧ください。

はじめに

売上が伸びているのに、手元資金はむしろ苦しくなる。
この状況は、経営が失敗しているから起きるとは限りません。むしろ、案件が増えている会社ほど起きやすい問題です。

特に内装工事のように、着工前の材料費、外注費、現場経費が先に出て、入金は完工後になる業種では、利益と資金の動きがずれやすくなります。
このとき見落としやすいのは、「利益が出る案件なら資金も回るはずだ」と考えてしまうことです。

今回の事例では、受注は増えている一方で資金繰りが不安定になっていた内装工事会社について、借入を増やす前に、まず何を整理したのかをまとめます。

支援前の状況|案件は増えているのに、月末資金が読めない

ご相談いただいたのは、従業員数十名規模の内装工事会社でした。
元請からの受注は堅調で、売上も前年より伸びていましたが、月末残高の不安定さが強く、追加借入を検討している段階でした。

ただ、話を整理すると、問題は単純な「売上不足」ではありませんでした。
主な要因は次の3つです。

  • 着工前に材料費や外注費の支払いが先行する
  • 完工から入金まで1〜2か月のずれがある
  • 案件増加に合わせて人件費と固定費も上がり始めていた

つまり、売上が増えるほど先に出ていくお金も増え、資金負担が前倒しで重くなっていたのです。
この状態で借入だけを足しても、構造を見ないままでは再び苦しくなる可能性がありました。

何を整理したか|「赤字かどうか」ではなく、資金の谷がどこで深くなるかを見る

支援では、まず試算表の利益を見るのではなく、案件ごとの資金の流れを時系列で整理しました。
すると、受注から入金までの間に、資金が大きく沈む局面がはっきり見えてきました。

特に大きかったのは、複数案件が同時に走る月です。
売上計上は後からまとまって立つ一方で、支払いは先に分散して発生するため、帳簿上は悪く見えなくても、資金だけが先に薄くなっていたのです。

ここで重要だったのは、月商だけではなく、次の3点を並べて見ることでした。

  • 毎月固定で出る固定費
  • 案件開始時に先行する支出額
  • 入金までの平均月数

この会社では、平時でも固定費の2〜3か月分を下回ると判断がかなり難しくなり、案件が重なる月はそれに加えて先行支出分を見ておかないと危険でした。
つまり、「月商に対していくら借りるか」ではなく、資金が最も薄くなる月を越えられるかで考える必要があったのです。

実際の判断|追加借入の前に、借り方と使い方の前提を整えた

当初、経営者の頭の中では「足りなければ追加で借りる」という発想が強くありました。
しかし実務上は、借入可能額だけを見ても意味がありません。返済が始まった後に、次の案件を受ける余力が残るかまで見なければ、借入は守りではなく負担になります。

そこで、支援では次の順で判断を整理しました。

まず、案件の受注量を前提に、3か月先までの資金繰りを月単位で仮置きしました。
次に、回収の遅い取引先、先行負担の重い案件、固定費の増加要因を分けて見ました。
その上で、追加借入が必要なのか、それとも支払条件や受注の持ち方を見直すべきかを検討しました。

結果として、この会社では、ただ満額を借りるのではなく、「資金が沈む時期を埋めるために必要な額」に絞って借入を設計する方が合理的という結論になりました。
同時に、利益率が低いのに先行負担が重い案件は、受け方そのものを見直す必要があることも共有しました。

この事例で大事だった判断基準

この支援で特に重要だったのは、次の基準です。

  • 手元資金は、固定費の2〜3か月分を一つの基準に置く
  • ただし、先行支出が重い業種では、それだけでは足りず、進行中案件の先出し資金も加味する
  • 借入判断は「今いくら必要か」だけでなく、「返済開始後に動けるか」で考える
  • 売上拡大時は、入金より先に材料費・外注費・採用費が増える前提で見る

もちろん、これは全社共通の万能基準ではありません。
ただ、少なくとも「利益がある」「受注がある」という理由だけで安全判断をするのは危うい、という点ははっきりしていました。

業種によって見方は変わる

この考え方は、内装工事会社に限った話ではありません。
在庫を持つ業種、着手時に仕入や外注費が出る業種、入金まで時間がかかる業種では、同じように資金の谷が深くなります。

一方で、変動費中心で、前受金を受けやすい業種なら、同じ売上規模でも必要な資金余力は変わります。
大事なのは、一般論をそのまま当てはめることではなく、自社は「何が先に出て、いつ入るのか」を把握することです。

まとめ

この事例では、問題は「借りられるかどうか」ではありませんでした。
本当の論点は、売上拡大に伴って先に増える支出をどう捉え、どの時点で資金が最も薄くなるのかを見える形にすることでした。

資金繰りが苦しくなる会社の中には、赤字だから苦しい会社だけでなく、伸びているのに構造が追いついていない会社もあります。
だからこそ、借入の可否だけでなく、受注、支払い、入金、返済を一つにつないで判断する視点が必要になります。

資金戦略は、一般論だけで決められるものではありません。
業種や固定費構造、入金条件によって最適解は変わります。
重要なのは、「借りられるか」ではなく「今、借りるべきか」を判断できる状態をつくることです。
まずは自社の前提条件を整理することから始めてみてください
さい。

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