行政書士
佐野 雅彦
行政書士事務所ACTION代表。
IT受託会社の借入・返済・追加融資・資金繰りを一体で見ながら、
その場しのぎではない資金の整え方を支援しています。
地方公務員として25年間、制度運用と相談対応に携わった経験を踏まえ、
現在は、返済を続けながら次の借入や投資を進められるかという視点で、記事監修と実務支援を行っています。
このページでは、IT受託会社の経営者に向けて、借入・返済・追加融資・投資判断まで見据えた資金戦略の実務情報を掲載しています。
[1.IT受託会社向け資金戦略]
IT受託会社で案件粗利率30%は、はたして安全なのでしょうか。本記事では、エンジニア人件費・固定費構造・資金余力などの観点からIT受託会社の資金構造と粗利率の判断基準を解説します。
目次
IT受託会社専門|資金戦略を設計する行政書士・外部CFO型パートナー
IT受託会社の経営者と話していると、よく耳にする言葉があります。
「案件粗利は30%くらいあります」
「だから利益は出るはずです」
確かに、IT業界では
案件粗利30%前後という数字が、ひとつの目安として語られることがあります。
しかし、資金戦略の観点から見ると、
粗利30%という数字だけでは安全とは判断できません。
なぜなら、IT受託会社の資金問題は
粗利率ではなく、「資金構造」で決まる
からです。
案件単位では利益が出ているのに、
会社全体では資金が減っていく。
こうした現象は、年商3,000万円〜5億円規模のIT受託会社では珍しくありません。
ここでは、「粗利率」という指標を
資金構造の視点から整理していきます。
IT受託会社の最大の特徴は
固定費が大きいこと
です。
主な固定費は次の通りです。
・エンジニア人件費
・社会保険料
・管理部門人件費
・オフィス費用
・採用費
特に重要なのが
エンジニア人件費
です。
ITサービス産業では、人件費が売上の大部分を占める構造が指摘されています。
出典
「情報サービス産業の実態」
経済産業省
https://www.meti.go.jp/
IT受託会社の場合、
売上に対するエンジニア人件費比率は40〜60%
になるケースが多く見られます。
つまり会社全体としては
粗利の多くが固定費で消える構造
になっています。
もう一つ重要なのが
キャッシュフローの順序
です。
IT受託会社の資金の流れは、一般的に次のようになります。
1 人件費支払い
2 外注費支払い
3 売上計上
4 売掛金回収
つまり
支払い → 売上 → 入金
という順番です。
さらに多くの案件では
入金サイト30〜60日
が発生します。
その結果、売上が増えるほど
運転資金が先に必要になる
という構造になります。
このため、
案件粗利が一定以上あっても
資金が不足するケースが生まれます。
IT受託会社の資金構造は主に次の4つで決まります。
主な固定費
・エンジニア人件費
・管理部門人件費
・オフィス費
固定費が高いほど
粗利率の安全ラインは上がります。
営業キャッシュフローは
本業で資金が増えているか
を示します。
粗利が出ていても
営業CFがマイナスなら
資金構造に問題がある可能性があります。
IT受託会社では
・月末締め翌月末
・検収翌月末
などの入金条件が一般的です。
この差が
運転資金の大きさ
を決めます。
資金余力は
現預金 ÷ 月固定費
で算出します。
これは
会社が何か月耐えられるか
を示します。
IT受託会社では、次の数値が一つの判断材料になります。
25%未満
→固定費カバーが難しいケースが多い
30%前後
→一般的な水準
35%以上
→資金余力が作りやすい
ただし、これは
固定費構造によって大きく変わります。
40〜50%
→比較的安定
55%以上
→粗利が吸収されやすい
90%以上
→固定費を回収しやすい
85%以下
→資金余力が削られやすい
6か月以上
→安定
3〜6か月
→注意
3か月未満
→資金リスク高
DSCR
=営業CF ÷ 年間返済額
金融機関では
1.2以上
が一つの目安とされています。
出典
「中小企業金融の実態」
中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/
金融機関が見るポイントは
粗利率よりも
資金の耐久力
です。
具体的には
・営業キャッシュフロー
・固定費構造
・借入残高
・返済余力
です。
案件粗利率が30%あっても、
・固定費が重い
・営業CFが弱い
・資金余力が少ない
こうした場合、
金融機関の評価は慎重になります。
逆に
粗利率が極端に高くなくても
・資金余力がある
・営業CFが安定
・固定費が適正
この場合は
安定企業として評価されるケースもあります。
同じIT受託会社でも
資金構造は大きく変わります。
特徴
・月次請求
・キャッシュフロー安定
・粗利安定
ただし
稼働率低下が
そのまま粗利低下になります。
特徴
・検収売上
・売上変動
・プロジェクトリスク
案件赤字が発生すると
粗利率が一気に崩れます。
そのため受託開発では
案件単位のキャッシュフロー
が重要になります。
案件粗利率30%という数字は
IT業界ではよく語られる水準ですが
それだけで
安全とは言えません。
重要なのは
・固定費構造
・営業キャッシュフロー
・資金余力
・入金サイト
といった
資金構造全体
です。
同じ粗利30%でも
資金が残る会社と
資金が減る会社があります。
違いは
構造にあります。
だからこそ
粗利率だけでなく
自社の資金構造を
数字で整理することが重要になります。
資金戦略は、一般論だけで決められるものではありません。
業種や固定費構造、入金条件によって最適解は変わります。
重要なのは、「借りられるか」ではなく「今、借りるべきか」を判断できる状態をつくることです。
まずは自社の前提条件を整理することから始めてみてください。
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