行政書士
佐野 雅彦
行政書士事務所ACTION代表。
IT受託会社の借入・返済・追加融資・資金繰りを一体で見ながら、
その場しのぎではない資金の整え方を支援しています。
地方公務員として25年間、制度運用と相談対応に携わった経験を踏まえ、
現在は、返済を続けながら次の借入や投資を進められるかという視点で、記事監修と実務支援を行っています。
このページでは、IT受託会社の経営者に向けて、借入・返済・追加融資・投資判断まで見据えた資金戦略の実務情報を掲載しています。
[1.IT受託会社向け資金戦略]
IT受託会社では外注比率が高くなるほど資金リスクが増える可能性があります。本記事では、外注費とキャッシュフローの関係、資金余力やDSCRなどの数値をもとに、IT受託会社の資金戦略の判断軸を解説します。
目次
IT受託会社専門|資金戦略を設計する行政書士・外部CFO型パートナー
IT受託会社の経営相談で、よく耳にする考え方があります。
「社員を増やすより、外注を使った方がリスクが低い」
確かに、外注は固定費ではなく変動費として扱えるため、
一見すると経営リスクが低く見えます。
しかし、資金構造の視点で見ると、
外注を増やすほど資金リスクが高まるケースも少なくありません。
特にIT受託会社では
という構造が重なります。
そのため、外注比率は単なるコスト問題ではなく、
資金戦略の判断テーマになります。
重要なのは
「外注を使うべきかどうか」
ではなく
「どこまでの比率なら資金構造として安全か」
という視点です。
IT受託会社のコスト構造は大きく分けて
の3つです。
人件費は固定費、
外注費は変動費と整理されることが一般的です。
しかし、資金繰りの視点では少し違います。
外注費の特徴は
キャッシュが先に出る費用
という点です。
例えばSES案件では
が一般的です。
一方で、クライアントからの入金は
になることも多い。
つまり
外注費 → 売上計上 → 入金
という順番になります。
この構造は、売上が増えるほど
運転資金を必要とする構造
を作ります。
IT受託会社の典型的なキャッシュフローは以下です。
給与支払い
外注費支払い
売上入金
つまり
支払い → 売上 → 入金
の順序です。
この構造では
売上が増えるほど
支払いも増えます。
そのため
成長=資金負担
になるケースが少なくありません。
特に外注比率が高い会社ほど
の資金ギャップが大きくなります。
外注比率が高い会社には、共通する資金構造があります。
外注費が増えると
売上が増えても
キャッシュは増えません。
むしろ
売上増加=運転資金増加
になります。
営業キャッシュフローが
慢性的に不安定になる企業も多く見られます。
資金余力は
現預金 ÷ 月固定費
で考えることが一般的です。
しかし外注比率が高い会社では
実際の資金負担は
固定費+外注費
になります。
つまり
帳簿上の固定費より
実際の資金消費が大きい
構造になります。
受託開発では
案件の遅延や仕様変更が発生します。
その場合でも
外注費は支払う必要があります。
そのため
案件赤字=キャッシュ流出
になります。
IT受託会社の資金構造を見ると、
外注比率には一定の目安があります。
30%以下
→安定構造
30〜50%
→一般的な水準
50%以上
→資金リスク増加
70%以上
→資金構造が脆弱化
これは絶対的な基準ではありませんが、
資金構造を見るうえでの一つの目安になります。
資金余力は
6か月以上
あることが望ましいとされています。
3か月未満になると
資金ショートリスクが高まります。
DSCRは
営業キャッシュフロー ÷ 年間返済額
で計算されます。
金融機関では
1.2以上
が一つの目安とされています。
出典
中小企業庁
中小企業金融の実態
https://www.chusho.meti.go.jp/
金融機関は
IT企業のPLだけではなく
資金構造
を見ています。
特に確認されるポイントは
です。
外注比率が高すぎる場合、
銀行は
収益の安定性が低い
と評価することがあります。
また、
外注主体の会社は
「人材会社に近い構造」
として見られるケースもあります。
その結果
借入評価が変わることもあります。
外注比率の考え方は
SESと受託開発で少し変わります。
SESでは
が基本です。
そのため
外注を使っても
キャッシュフローは比較的安定
します。
ただし
稼働率が下がると
すぐに利益が減ります。
受託開発では
になります。
そのため
外注費が増えるほど
案件キャッシュフローのリスク
が大きくなります。
特に
が発生すると
資金負担が急増します。
IT受託会社にとって外注は、
重要な経営手段の一つです。
しかし、外注は
「変動費」
であると同時に
キャッシュ先行費用
でもあります。
そのため外注比率は
単なるコスト管理ではなく
資金構造の問題
として整理する必要があります。
特に重要になるのは
です。
外注を増やすこと自体が問題なのではありません。
問題は
その構造を理解せずに増やしてしまうこと
です。
自社の資金構造を整理したうえで、
どの程度の外注比率が適切なのかを考える必要があります。
資金戦略は、一般論だけで決められるものではありません。
業種や固定費構造、入金条件によって最適解は変わります。
重要なのは、「借りられるか」ではなく「今、借りるべきか」を判断できる状態をつくることです。
まずは自社の前提条件を整理することから始めてみてください。
当事務所は、IT受託会社について、
借入後の返済、入金時期、人件費や外注費の支払い、採用予定などを見ながら、
借入、返済、採用、投資の判断をしやすくする支援を主に行っています。
そのため、次のような方に向いています。
・売上はあるが、手元のお金に不安がある
・借入だけでなく、返済や今後の採用までふまえて考えたい
・その場しのぎではなく、これから先の資金の流れを整理したい
・単発の答えではなく、経営判断に使える形で見直したい
一方で、次のようなご相談は対象外です。
・情報収集だけを目的としたご相談
・一度だけ答えを聞いて終わるご相談
・個人事業主の方からの一般的なご相談
・経理代行や事務処理の外注先を探しているご相談
初回面談は、オンライン60分・税込11,000円です。
初回面談では、
今の状況、ご相談の目的、借入や返済の状況を確認しながら、
何が今の資金負担になっているか
どの支援が合いそうか
を一緒に整理します。
まずは、対象に当てはまるかをご確認のうえ、お問い合わせください。
自分が対象か確認して問い合わせる
🍃ご相談方法について
◎現在、電話相談は承っておりません。
お手数ですが、問い合わせフォームからご相談ください。
24時間365日受付
対応地域
全国対応